デザインを作成しているとき、
「何か物足りない」、「もう一手間加えたい」
なんてことがあると思います。
そういう時に簡単だけどとても便利な『描画モード』について解説していきます。
そもそも『描画モード』とは?
まず、描画モードというのは、「レイヤー」に設定するものです。
このモードを設定することで、設定レイヤーより下のレイヤーに対して
特殊な重ねがけ効果のような処理をしてくれます。
設定の仕方は、重ねがけしたいレイヤーを選択している状態で、
下画像の赤枠の「通常」となっている所をクリックします。
するとこのように描画モードの候補が表示されるため、
設定したいモードを選択すると作業画面上にそのモードが反映されます。
描画モードの種類
描画モードは全部で27種類とたくさんありますが、
大きなジャンルでいうと5つに分類されます。
①ノイズをかける描画モード
②暗くする描画モード
③明るくする描画モード
④コントラストを調整する描画モード
⑤その他の描画モード
こちらの解説では、できるだけシンプルに説明していくため、
もし1つ1つの詳細まで知りたいという方は、
Adobe公式の解説を一度見ていただけたらと思います。
①【ディザ合成】
このディザ合成という描画モードだけは他の描画モードと違い、
設定したレイヤーに対してノイズ効果を表現することができます。
モード設定後、不透明度の数値を下げることでノイズの濃度を濃くすることができます。
※上の画像を見ていただいて分かる通り、描画モードは画像だけでなく、テキストにも設定することができます。
②【暗くする描画モード】
こちらのジャンルの描画モードには
・比較(暗)
・乗算
・焼き込みカラー
・焼き込み(リニア)
・カラー比較(暗)
の5種類があり、
それぞれ多少の違いはあれど、簡単にいうと、
「黒い・暗い」色の部分を重ねがけしてくれるイメージになります。
例えばこちらのように、
「背景」「被写体のモデル」「テキスト」がある状態。
「背景」と「被写体のモデル」のレイヤーの間に「描画モードを設定する画像」を読み込みます。
後は描画モード(例:比較(暗))を設定すればこのように画面に反映されます。
③【明るくする描画モード】
こちらのジャンルの描画モードには
・比較(明)
・スクリーン
・覆い焼きカラー
・覆い焼き(リニア)-加算
・カラー比較(明)
の5種類があり、
こちらもそれぞれ多少の違いはあれど、簡単にいうと、
「白い・明るい」色の部分を重ねがけしてくれるイメージになります。
こちらは描画モード(スクリーン)にした反映イメージになります。
④【コントラストを調整する描画モード】
こちらのジャンルの描画モードには
・オーバーレイ
・ソフトライト
・ハードライト
・ビビッドライト
・リニアライト
・ピンライト
・ハードミックス
の7種類があり、
こちらに関しては、「オーバーレイ」「ソフトライト」のみ覚えておけば良いかなと思います。
どんなものか簡単に説明すると、
暗いところはより暗く、明るいところはより明るくするイメージになります。
なので、素材画像を背景になじませたりする場合に使用されることが多いです。
オーバーレイの方が効きが強く、ソフトライトの方が効きが弱いため、
重ねがけする素材の相性によって使い分けが可能です。
こちらは描画モード(オーバーレイ)にした反映イメージになります。
こちらは描画モード(ソフトライト)にした反映イメージになります。
【その他の描画モード】
こちらのジャンルの描画モードには
・差の絶対値
・除外
・減算
・除算
・色相
・彩度
・カラー
・輝度
の8種類があり、
こちらに関しては、「カラー」のみ覚えておけば良いかなと思います。
簡単に説明すると、
色味だけを変換するイメージになります。
なので、ポスターなどで全体の色味を統一したい場合などで使用されることがあります。
下画像のように色味のわかる画像を入れて、
描画モード(カラー)にした反映イメージになります。
描画モードの実際の使用例
ここまで各描画モードの説明をしましたが、実際にどんな感じで使用しているか例も出してみたいと思います。
例1)『乗算』でメイクアップ
描画モード(乗算)を使うことで、口紅やチークを塗っているような表現をすることができます。
下画像は新規レイヤー作成→ブラシでピンク色で塗ったレイヤーを描画モード(乗算)にしたものです。
レイヤーをわけて不透明度を調整することで、濃度の調整もできます。
例2)『スクリーン』で光を追加
背景が黒い光の素材の場合、描画モード(スクリーン)を使うことで、
光のみをデザインに反映させることができます。
こちらのように、背景と被写体のモデルがあり、背景に一手間加えたい場合、
背景と被写体のモデルの間のレイヤーに背景が黒い光の素材を入れます。
あとは描画モード(スクリーン)にしたらこのように光のみが反映されます。
例3)『覆い焼き(リニア)-加算』でフレアを追加
例2の描画モード(スクリーン)と原理は同じなのですが、使用時の補足情報があるため、紹介していきます。
例えばこちらの車にライトを追加したい場合、
こちらのフレア素材を貼り付けて、
描画モード(覆い焼き(リニア)-加算)にします。
すると、ピンク枠の箇所をみてわかるように、境界線が見えてしまいます。
そういう時は、上部メニューの『イメージ』→『色調補正』→『レベル補正』に進みます。
画像の赤枠のボタンを右に移動させます。
すると元々の画像の暗い部分がより暗くなるため、境界線がわかりにくくなります。
ただこれでもまだ境界線がわかってしまうため、次は下画像赤枠の『マスク』を使用します。
このように画像の横に白いレイヤーが新しく表示されたら、
左メニューから『グラデーションツール』を選択します。
上部オプションバーで、まずは『線形グラデーション』を選択してから、詳細設定をクリックします。
すると、こちらの画面が表示されるため、①,②の『不透明度』,『位置』と③,④の『カラー』,『位置』をそれぞれ設定します。
内容としては徐々に消えていく黒いグラデーションを作るイメージになります。
設定が終わったら、境界線を消すようにグラデーションをかけていきます。
これで境界線を違和感なくなくすことができます。
段階にするとこれくらいの違いが出ます。
例3)『オーバーレイ』でデザインの雰囲気をワンランクアップ
例えばこちらのデザイン、1枚の画像とテキストで構成されているのですが、ここでもう1アクセントほしいという場合、
背景の上に重ねがけしたい画像を読み込みます。
あとは描画モード(オーバーレイ)にしたらこのようにオリジナルのイメージになります。
さらにもう一枚追加します。
下画像のように描画モードは複数レイヤーでそれぞれ重ねがけすることでより味わいのあるイメージになります。
こちらが比較画像になります。
作業工程の簡易さに対して、組み合わせ次第でとても活躍の幅の広い描画モードになります。
例4)『ソフトライト』で画像合成時の違和感を緩和
描画モード(ソフトライト)を使うことで、背景に被写体を合成するときの色味や明るさの差異を緩和することができます。
こちらのように、背景に被写体を配置すると、やはり色味の違いから浮いた印象を受けます。
なので、まずは背景のレイヤーを複製します。
次に上部メニューの『フィルター』→『ぼかし』→『平均』を選択します。
するとこのように画像の平均色に変換されるため、被写体の上にレイヤーを移動させます。
移動後、レイヤー上で右クリック→『クリッピングマスクを作成』を選択します。
するとこのようになります。
あとはこの状態から描画モード(ソフトライト)を選択すれば、被写体が背景となじむようになります。
こちらが比較画像になります。
例5)『カラー』で服の色を変更
描画モード(カラー)を使うことで、オブジェクトの色を変更することができます。
例えばこちらの画像のスーツの色を変更したいという場合。
まずは新規レイヤーを作成し、ブラシツールでカラー変更したい箇所を塗ります。
そして描画モード(カラー)を選択すれば、服の色の変更ができます。
こちらが比較画像になります。
まとめ
このように描画モードといっても選択するものによって効果も全然違ったものになります。
また、単体で使用するのではなく、実際にはいくつか描画モードを組み合わせてより複雑なデザインを作成します。
とは言え、各モードの詳細を1つ1つ知っておく必要はないので、
おおよそ「この辺りの描画モードは暗くする」「この辺りの描画モードは明るくする」という雰囲気だけ覚えておいて、後は実際にデザインを作成する際にモードを選択してみてその時の素材との相性で組み合わせを調整していく。というのが現実的かなと思います。
描画モードを知っているか知っていないかでデザインの幅はかなり変わってくるので、積極的に使用すべき機能の1つです。